人民元の為替レートの推移
中国人民銀行が週末のリリースで、人民元(
CNY)のリーマン・ショック以降続いていた事実上の対ドル連動を解除し、通貨バスケットや国際収支を考慮した、より柔軟なものにすると発表し、2005年7月21日以来の管理フロート制への復帰をしました。
週明けの6月21日の中央値はUSD1=CNY6.8275、
EUR1=8.4825、
JPY100=CNY7.5500といった数字で、リリース前の6月18日USD=CNY6.8275、EUR1=CNY8.4538、JPY100=7.5151と比較すると対USDでは全く同じ水準でした。
現在人民銀行から許されている対
USDの変動幅は0.5%ですので、CNY高の限界は6.7933625でしたが、昨日の最安値は6.7962と限界近くまでCNYが買われ、USD1=CNY6.7969で引けました。翌6月22日の中央値はUSD1=CNY6.7980と発表されていますから、ある程度市場の動きを容認する方針となったものと思われます。USD/CNYの長期のヒストリーを見てみましょう。
1970年代に人民元高が続き1981年にはUSD1=
CNY1.5 まで高くなってしまったCNYはその後一貫してUSDに対して減価、1994年の管理フロート制導入時にはUSD1=CNY8.7程度まで安くなりました。3年後の1997年にはUSD1=CNY8.2765の対USD固定相場制が導入され、その体制は2005年7月21日に11通貨のバスケットに基づく管理フロート制が導入されるまで続くわけです。
管理フロート制の下で、徐々にUSDに対して切り上げられていったCNYですが、2008年9月のリーマン・ショック以降は対USDでの調整が全く行われず、2008年6月にCNYが6.8台に切り上げられて以降は事実上対USD固定相場が2年ほど続いた格好になっていました。
この間、対USDでは良く語られているのですがその他の通貨との関係はどうなっているのでしょうか?人民銀行が参照するといっている11の通貨のCNYベースの価格を2005年7月21日を1.0としてグラフにしてみました。
管理フロート制導入時から比べると総じて人民元高方向に動いていますが、PYやTHBはほとんど横ばいか、むしろ人民元安になっていますね。これでは分かりにくいので、11通貨の国々との貿易量に応じた比率でインデックス化してみましょう。2009年の貿易量とそれぞれの比率は、中国の税関の統計ではとなっていましたので、この比率で求めてみます。その数字に対USDの推移を重ねると次のようになります。
インデックスベースでみると、2005年以降は急激な人民元高とならないようにコントロールしていたように見えます。リーマン・ショックの影響で USDがその他の通貨に対して強くなってしまった影響でCNYが予想以上に強くなってしまったために、対
USDでの切り上げは見送られていたのではないでしょうか。
全体を調整しようとすると、たとえば2009年初めころの水準では、
CNYインデックスは人民元高状態でしたから、対USDでは逆に切り下げなければならなかったと思われます。さすが対
USDでの切り下げは無理なので、先週末まで据え置いていたということではないでしょうか!?
関連記事